テフロン加工のフライパンはすぐに傷がついて使えなくなってしまいませんか?
私は、餃子やオムレツなど焦げ付きやすいものはテフロン加工、炒め物などは鉄フライパンといったように料理によってフライパンを使い分けています。
鉄のフライパンは20年以上使用していて、長持ちしていますよ。
鉄のフライパンで料理をすると、鉄分が摂れると聞いたこともあり、鉄を摂りすぎることなどは考えもせず長年使ってきました。
しかし、鉄のフライパンは危険だという記事を見つけて、心配になり調べてみることにしたのです。
鉄フライパンで鉄の摂りすぎは有るのか?また、危険性は有るのか?この記事をご参考いただければ幸いです。
鉄フライパンで鉄分の摂りすぎは有る?
鉄フライパンや、鉄鍋などの鉄製調理器具から、鉄が溶出するみたいですね。
さらに、その溶出鉄は吸収されやすい2価鉄が多いことが明らかになっているようですよ。
どのくらい溶出されるのか見ていきましょう。(実験に用いられた、鉄鋳物フライパン、鉄鋳物小鍋、鉄びんは(株)岩鋳鋳造所製表面をうるし加工処理したものです。)
参考:日本調理科学会誌Vo1.36No.1(2003) 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化PDFはこちら
鉄の溶出量は添加調味料に影響される
表2を見ると、食塩1%・食酢10%添加では鉄鍋からの鉄溶出量は2.26㎎で明らかに増加が見られますね。
鉄鍋からの鉄の溶出量はpHが低く食塩量が多い方が、増加すると考えられている様ですよ。
食酢添加で鉄鍋からの鉄の溶出量が多かったのはpHが低いためですね。
トマトケチャップと食塩を添加したものも比較的鉄の溶出量が多かったのもpHが低く食塩が関係している考えられています。
出典:日本調理科学会誌Vo1.36No.1(2003) 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化
加熱時間が長いほど鉄溶出量は増加
図1より、全ての実験試料(調味料)において加熱時間が長いほど鉄の溶出量が増えていることが分かりますね。
出典:日本調理科学会誌Vo1.36No.1(2003) 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化
油によって鉄鍋の表面に被膜が作られ鉄が溶出しにくくなる
表4の鉄鍋使用時の調理食品中の鉄の含量からステンレス鍋使用時の調理食品中の鉄の含量を差し引いた値を見るとビーフシチューが4.19㎎で一番多いですね。
これは加熱時間が長かったためと考えられているようですよ。
先ほどpHが低い方が鉄の溶出量が多くなると書きましたが、pHが低い食酢を使った酢豚の鉄の溶出量が1.40㎎と少なかったのは、始めに油で野菜を炒めたため油によって鍋の表面に油の被膜ができて鉄が溶出しにくくなったのと、食酢を加えてからの加熱時間が1分で短かったための様です。
野菜炒めも油で鉄鍋に被膜ができたのと、調理時間が5分と短かったため0.61㎎と鉄の溶出量が一番低いですね。
出典:日本調理科学会誌Vo1.36No.1(2003) 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化
鉄フライパンで鉄分の摂りすぎは危険?
鉄は欠乏(※1)しても過剰摂取しても老化につながると言われています。
老化について知らなくても、鉄が欠乏すると鉄欠乏性貧血を生じることはよく知られていると思います。
しかし、過剰摂取した場合のリスクについてはあまり知られていないのではないでしょうか?
先ほど紹介した文献によると、鉄のフライパンは、使用する調味料や調理時間によって鉄の溶出量が異なることが分かりました。(実験に使用した鉄製調理器具は表面をうるし加工処理したもの)
pHの低いお酢などを使ったり、長時間加熱すると鉄鍋からの鉄の溶出量が増える様ですね。
鉄不足の方には鉄のフライパンの使用は良いとされているようですが、特に治療や予防が必要でない方は注意が必要かもしれませんね。
参考文献 ※1 特集:老化促進要因としての微量元素欠乏症 —微量元素の補充はアンチエージング効果をもたらすか—鉄欠乏と老化の関連https://www.jstage.jst.go.jp/article/brte/20/1/20_1_30/_article/-char/ja/
鉄の大量摂取は過剰症を起こす
鉄の必要量は個人差が大きいようですね。
必要量は健康な人の場合男女で異なり、女性は月経の有無や妊娠・授乳期にあるかどうかによって左右されます。通常の食事をおこなっていれば鉄を摂りすぎることはほとんどありません。ただ、サプリメントなどで大量に摂取すると、過剰症を起こします。
引用元:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 鉄|e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
鉄の食事摂取基準は次の通りです。
出典:厚生労働省 鉄の食事摂取基準(mg/ 日)1PDFはこちら
鉄フライパンからの鉄の溶出量は、使用する調味料や加熱時間、鉄フライパンの表面の加工処理が有るか無いか、表面の加工処理があっても古いもので違いが出てくるので、鉄分の摂りすぎになることも有るかもしれませんね。
心配な方はフェリチン検査(貯蔵鉄量を推定)により、鉄欠乏なのか鉄過剰なのかがわかりますよ。
テフロン加工(フッ素樹脂加工)や鉄フライパンも使うのが心配だとお考えの方にはこちらのステンレスフライパンが良いのではないかと思います。
テフロン加工(フッ素樹脂加工)のフライパンは200℃前後の通常の調理では問題ないそうですが、空焚きで加熱をしすぎると有毒なガスが発生することがあるようです。
また、安価なテフロン加工の製品では使用されているフッ素量が少なく、適正な使用でも接着樹脂由来の分解物が発生する可能性が有るみたいですよ。
参考文献:厚生労働科学研究成果データベース フッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装の安全性に関する研究
生活習慣病の発症リスクを高める
鉄を過剰摂取すると、体内に蓄積するようです。
蓄積した鉄は酸化促進剤として作用し、組織や器官に炎症をもたらしてしまいます。
すると、肝臓や心血管系疾患のリスクが高まるそうです。
鉄の過剰摂取が生活習慣病の発症リスクを高めるという報告は増えつつあるみたいですね。
しかし、今のところ鉄の目標量(上限値)を設定するための定量的な情報は不十分のようですよ。
貧血の治療や予防が必要でない限り、鉄の過剰摂取については十分に注意する必要がある様ですね。
今お使いの鉄のフライパンに、表面の加工処理が無い場合や、有っても古い場合は気を付けた方が良さそうです。
参考文献
- 1厚生労働省 02_各論_1-7_ミネラル_2_cs6_0114.inddPDFはこちら
- 2肥満・糖尿病とその合併症における生体内鉄蓄積と鉄制限による治療応用への可能性https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/154/6/154_316/_article/-char/ja
- 3東邦大学 薬学部 生化学教室 鉄と老化および老化関連疾患https://www.lab.toho-u.ac.jp/phar/seika/research/fe.html
まとめ
鉄フライパンは調理法によっては、鉄分の溶出量が増えて鉄の摂りすぎがあるかもしれません。
油を引いて、調理する場合は油の被膜によって鉄の溶出は少ないようですが、お酢を加えて加熱時間を長くすると鉄の溶出量が増えてしまうそうですよ。
貧血の方やその予防が必要な方にとって鉄フライパンの使用は、有効であると言われています。(鉄フライパンの表面に加工処理のないものや、加工処理が有っても古いものは注意)
また、女性は閉経を迎えた場合に鉄の摂取基準が低くなるので、鉄フライパンの使用には注意が必要のようです。
鉄は欠乏しても過剰摂取しても老化を促進させる恐れがあるので、上手に摂取したいですね。
お読みいただきありがとうございました。